'Tis Not Eaten When Rotted.
それとは別の林で…、林の中をだるそうに進んでいく少女が一人。
「特徴は黒い短髪と緑の服…。」
そう言って立ち止まると、青葉の間からのぞく空を見上げる。
3、風の道
「疲れた〜」
空を仰ぎながら少女が呟く。風が通り抜け、彼女の髪をもてあそぶ。
その少女の名前はフォレ。ずっと街の中で育ってきた彼女は、林の中を歩き慣れておらず、
30分ほど、獣道を選んで歩いていたが、石や枝などの障害物や、
起伏のはげしさもあって、足が疲れを訴えていた。
まだ来て間もないこの土地で、この土地に長く住む少年を探していた。
その少年は聞くところによると、もう3日、家に帰っていないということだった。
今までよく行方不明になっていたけれど、必ず晩御飯の時間には帰ってきていた。
それが、今回は様子が違う。そういうわけで、近所に住む人間によって、
捜索が行われることになったのだ。最後に目撃されたのが、ここからは遠い、
川のほうだったので、林の中を捜しているのは彼女と、知らない女性との二人だけ。
その女性とは、いつのまにか離れ離れになっていた。
「おーい、ヴァン〜」
一応、その少年の名前を呼んでみる。静けさが続く。返事はない。
「あー、めんどくせー」
少女は、近くにあった倒木に近づくと、それに腰掛ける。樹皮のひんやりした感触が
伝わってくる。面識のない少年が3日帰らないといわれても、あまり実感がわかず、
心配のしようもない。フォレは、林の中を見渡した。
外から見るとさほど大きくない林だけれど、中に入ると意外に広さを感じた。
木も生い茂っていて、うっすらと暗い。これから日が傾けば、さらに暗くなり、
きっと一人では、心細いだろう。このまままっすぐ歩いていても、林の外に出られる
だろうが、外の道も、彼女はまだよく知らない。ちゃんと家に戻れるかわからないので、
来た道を返そうか、そんなことを考える。自分まで行方不明じゃ笑えない。
「もう、見つかったかも知れないし」
一人呟いてみる。けれど、すぐには立ち上がらない。足首を回し、だるくなった足を
休ませる。両手をたらし木にのせる。顔を上げ、林の中をぼんやりと眺める。
濃い緑と、落ち葉、土の穏やかな色。心地よい静けさ。座って落ち着いて見てみると、
悪い景色じゃない。木漏れ日の描く光の筋は、ちょっと物語の世界のようだ。
視界の中で動くものがあり目をやると、小さなリスが枝から枝へわたっていく所。
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